平成21年度 レクチャーコンサート「君は愛されるために生まれた」

平成21年5月16日
第8回通常総会の後、こどもから親へのメッセージ 子どものいのちを守る会のレクチャーコンサート「君は愛されるために生まれた」ヴァイオリニスト ジョン・チャヌの調べを開催しました。
曲目は
映画「80日間世界一周」より“テーマ”、
チャイコフスキー『 白鳥の湖』より“情景”、
映画「ピノキオ」より“星に願いを ”、
マスネー:タイスの瞑想曲、
サラサーテ:ツゴイネルワイゼン、
プッチーニ:歌劇トゥーランドットより「誰も寝てはならぬ」、
モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲、レクイエムよりクラリモサ、ピアノソナタ第8番、ヴァイオリンソナタ(K304)、ジェラシー(コンチネンタルタンゴ)、
ショパン:ノクターン(20番)、イムジン河、きみは愛されるために生まれた
という内容でした。
演奏時間は15分の休憩を挟んで、延べ約2時間30分。このコンサートを企画、監修してくださった青木淳氏(多摩美術大学)は、コンサート開催の契機やジョン・チャヌさんについて次のような一文(抜粋)を寄せてくださいました。

「昨年、藤野武彦先生から「なにかいま、この子どものいのちを守る会にしか出来ないようなことがないでしょうか」というお話をいただきました。

現代は、どこか子どもたちから親へのメッセージがなかなか届かない時代という気がしていました。

学生時代から、気がつくといつも私のまわりでモーツァルトの音楽が流れていた気がします。無意識に聴いているのに、なぜだかモーツァルトがそこにいて誰かに語りかけているような気がしていました。その旋律は、時に喜びに満ち、またある時はその溢れ出る才能が天から降り注ぐもののようであることを感じました。ただここ数年、彼の作品の中でいくつかの作品を聞くたびに、強くこころ動かされるものがあったのです。

作品番号で言うとK.290~320番あたり、特にK.304というヴァイオリンソナタは聴くたびに、その透き通るような美しい旋律の傍らに、彼の内なる悲しみを感じていました。それはモーツァルトが21歳の時の作品でした。演奏旅行のために生まれ故郷のザルツブルグを出発したモーツアルトと母のアンナでしたが、ようやく目的地のパリに到着したものの、間もなく母は急逝してしまう。そんなとき、モーツアルトが作曲したのがこの作品でした。亡き母に語りかける天才モーツアルトの、伝えきれぬ言葉がこのメロディーとなってそこにあるのだと思いました。モーツァルトの母は、ある意味で普通の女性であり、母でした。けして特別なものを持った人物という印象はありません。しかし彼にとってはかけがえのない存在だったことはこれらの一連の作品からもよく分かります。子供たちにとっては、どんな親もかけがえのない存在だということを、彼の音楽は語っていたのではないでしょうか。

そんな親子の関係を、そして音楽が語りかける愛情の意味を誰かに語ってもらいたいと思っていた時に、今それができるのはヴァイオリニストのジョン・チャヌさんだと直感的に思った。どこか無邪気で、人を喜ばすことが大好きで、それでいて多くの悲しみも知っている人。たぶんモーツァルトが語りかけるように、音楽を聞かせてくれる数少ない演奏者です。会場は気持ちよく心開けるホールをという思いから、丸の内の日本工業倶楽部をお借りしました。この贅沢でしかし品のいい空間は、心地よい緊張感を私たちに与えてくれるに違いないと思いました。

ジョンさんが最後に奏でた「君は愛されるために生まれた」は、目をつぶって聴いていました。音楽が親子を、そして人と人を深く結びつけるかけ橋となっていることを体験した気がしました。」